【お店紹介】LITTLE HAPPINESS「この街の一部になって、この街に暮らしている人たちと一緒に成長していきたい」(アパレル/カフェ)

2016年3月、目黒駅西口側にある通称「ドレメ通り」沿いにオープンした「LITTLE HAPPINESS」。

素敵なお洋服を扱うアパレルショップと、落ち着いた雰囲気のカフェが一体になったお店です。

お店を営むのは、大野敦史さんと実央さんのご夫婦。
お二人に、「目黒での1年」のこと、そしてこれからのこと、お話をお伺いしてみました。

お店を営む大野敦史さんと実央さんご夫婦

 

目白から目黒へ……ドレメ通りに惹かれて

 

目黒駅前新聞(以下:目)「1年間、目黒で実際に営業されてみて、いかがでしたか?」

敦史さん(以下:敦)「思っていたよりたくさんの方に来ていただけて、とても良い1年でした」

「こちらにオープンされる前は、目白でお店をされていたと聞きました。
目白から目黒へ……
どうして目黒を選ばれたのでしょうか??」

「目白では、10坪ほどの洋服屋だけのお店をやっていました。
カフェを併設させられる物件を探したのですが、目白ではなかなか見つからず……目白にこだわらず、『目白に見劣りしない街はどこだろう?』と、他の街も探すことにしたんです」

実央さん(以下:実)「でも1年くらい探しても見つからなくて……諦めかけていた時、ちょうどここの物件が空いたというのを見て、その日に申し込んで次の日に内覧に来ました」

「すごい行動力! 目黒の印象はいかがでしたか?」

「内覧のとき、はじめてこの通りに来ました」

ドレメ通りですね」

「はい。
目黒駅前は大通りで、自分たちのお店があるイメージはできなかったけど、この通りは落ち着いていて、でも人通りはけっこうあってさみしい感じはしなくて……。
目の前には教会があるのも、いいなと思ったポイントでした」

ドレメ通り。目黒駅西口から三井住友銀行の脇を入ったところにつながる。住宅街へ続く通りだが、アルコタワーへの入り口もでき、人通りが増えた

この通りを気に入った、というのが大きかったです」

「あと、『目白から目黒へ』って言いたかったというのもありました(笑)」

「それは誰もが突っ込みたくなるところですよね(笑)
洋服屋さんとカフェが併設されているのがとても素敵だなぁと思うのですが、実際に営業されてみて、いかがでしょうか?」

(左)カフェ(右)アパレル店。自由に行き来でき、一部が壁で仕切られている。「洋服を見ているときにカフェのお客さんの目線が気になるのを避けたかったので、一部に壁を設けました」と実央さん。

「お互いに相乗効果はありますね。
こういう路面のアパレル店って入りにくいけど、カフェは間口が広がるので……」

「確かに、路面のアパレル店って、すごく高いか、すっごく『買わされそう』なイメージがあります……」

「その点、カフェは『ちょっと入る』というのができるから、何回かカフェのほうに来てくれた方が、お茶しながら会話しているうちにお店に対するハードルが下がって、洋服のほうもちょっと見てみようかな、となったりして」

「逆に洋服を見にこられた方が、『スイーツも美味しいのよね』と言ってカフェにも寄ってくださったり」

「まさに『相乗効果』ですね。
お店にいらっしゃるのは地元の方が多いのでしょうか?」

地元の方が3割ぐらいです」

カフェの常連さんは地元の方が多いですね。
『部屋の掃除に疲れちゃったからちょっとコーヒー飲みにきたわよ』なんて言ってほっと一息されたり、まさにそういう使い方をしてほしかったので、とても嬉しいです」

「と思ったら、遠くからわざわざ来てくださる方もいたり……。先日は熊本からきてくださった方がいました」

「熊本! すごいです! 何でお知りになったのでしょうか!?」

インスタグラムですね。カフェのほうは『インスタを見て』という方、多いんです」

「インスタ……なるほど……確かに、『インスタ映え』する感じですよね!」

実はそうでもないんです(笑)。
カフェオレも普通で、『くまちゃんの絵が描いてある』とかでもないし、ケーキも華やかじゃない焼き菓子で、茶色っぽくて、お皿も茶色だし(笑)」

地味ですね(笑)」

「はい(笑)
『これ白いお皿にしたら映えるのに』ってお客様に言われたりもしました(笑)」

人気のデザートメニュー、レアチーズケール。ケールを使ったレアチーズケーキの上に、はったい粉のクッキーがざくざく乗っかる。デザートメニューは毎日変わるので、お店のFacebookページをチェック。(画像提供:LITTLE HAPPINESS)

「でも、お客さんが発信してくださるのはとてもありがたいです。
自分たちは宣伝が下手なので……」

「たまたま来られていた方がフォロワー何万人もいる方だったりして……
『最近お客さん多いな』と思ったら、その方がいつの間にかあげてくださっていたからで。
こんなに影響力ある人だったんだーって、後から気づいたり……」

「誰かがやってくれるのっていいですね!」

自分たちで『超素敵な店です』とか言いにくいですからね(笑)」

「実央さんは『地味だ』とおっしゃいますが、お客さんが『あげたい』って思わせるような要素があるのでしょうね!」

「どうなんでしょう。できることしかできてないんですけど……
ランチの声があがったりしているのですが、それは対応していません
自分たちの最初のコンセプトは、曲げちゃいけないなと思っていて」

「最初のコンセプト……?」

「私たちは、洋品店がメインのお店で、ここはそれに付随するカフェ
カフェが主体のお店ではない、そこはズレちゃいけないんじゃないかと思っています」

「なるほど……。
カフェのほうは、全部で9席ですか?」

「あと一つ椅子を持ってきて、最大で10席です。
一人でまわせる限界かなと思っています」

席と席の間も、ずいぶん広めにとってらっしゃいますね」

カフェのインテリアもすべて実央さんがセレクト。木の雰囲気を大事にしながら、椅子はヴィンテージもの、机は衛生面を考慮して新品を揃えた

「席の間をもっと詰めればもっとたくさん人を入れられるでしょうが、
ゆったりと過ごしてほしいと思っているので……
コーヒー1杯で2時間仕事している人とか、そういうのがいいなと思っていて(笑)」

「ここで言ってしまうとみんなしてしまいそうですが(笑)」

「どうぞどうぞ、大歓迎です(笑)」

世界中でここにしかない洋服に出逢える


「敦史さんは、コーディネートが得意だという情報が入っています!」

「得意というか……自分、洋服しかないんです(笑)」

趣味も仕事も全部洋服(笑)
あとは食べることで、美味しいもの食べられて可愛いものに囲まれていたら、それで幸せなんだよね(笑)」

「コーディネートが得意というか、パッとひらめいた方には、おすすめしたくなるんです」

「おお! その人に合ったコーディネートが降りてくる感じでしょうか!?」

「すべての方に、というわけではないのですが、ひらめいた方には、おすすめしています」

買ってほしいっていうより、『着てほしい』んだよね」

「そうなんです!」

「そんなに着せると迷わせるよ、って言ってるんですけど(笑)
ほんとに服が好きなんだなーと思います」

「おすすめされたお客さんの反応はいかがですか?」

「『自分だったらぜったい選ばないわ~』と言って着てくださる方もいれば、手に取らない方もいらっしゃいますね」

「それはそれで、『この方はそういう方なんだ』と、こちらも次回からの参考になります」

「アパレルのほうは、入り口側から見るイメージよりも奥のほうにたくさん置いてあるんですね。
何点ぐらいあるのでしょうか?」

店内奥の方にもたくさんの洋服が。帽子やストールなどの小物類も多数取り扱っている

常時150点くらいは揃えています。中までぜひ一度見てみてください」

「インポートものが多いのでしょうか?」

「今は、インポートと国内ブランドが半分ずつくらいですね」

「年に2回くらい、フランスに買い付けにいっています。
あと、ブランドから次のシーズンの生地見本と形を送ってもらっているので、『この生地を使ってこのワンピースを作ってください』みたいな、うちの店だけのセミオーダーのものもたくさん扱っています」

「小さいブランドが多いので、いくつかのブランドでそういった対応をしてもらっています」

「世界中でここしかない洋服に目黒で出逢えるなんて……素敵すぎます」

KOFTAのパンツは人気の定番アイテム

「あまり流行りを追いすぎていないから、永遠に美しく着られるものが多いので、お客様の年齢層は30代から70代まで幅広いです」

「逆に、こういう路面のアパレルって『ミセス』風のものが多いイメージもあるかもしれませんが、20代の方から気に入ってもらえるのも多いです」

「わかります! ギリギリ30代の私も欲しいものたくさんあります……」

「シンプルなんだけど形が凝っていたり、プリントが凝っていたり……アバンギャルドではないけどこだわりの服が多いので」

街に暮らしている人たちと一緒に成長していきたい


「このお店がここにできて1年経って、わかったんですが……
こういうお店があるかないかで、街の価値が変わるんだなぁーと……。
遊びにきた友人に『こんな素敵なお店があるんだね~』みたいに言ってもらえて、すごく誇らしくなったりするんです」

「ほんとですか!? それはすごくうれしい……」

「でも、こういった個人経営のお店が続けるのはとても厳しい時代だと思うので……
大変でしょうか!?」

「大変じゃない、ということはありませんが、自分たちは夫婦でやっていて、家族も応援してくれているので、続けられています」

「両親や家族の理解があるからできているという感じで……ありがたいです。
全てがありがたいという感じです」

「私もすごくありがたいです……。
ぜひ長く続けていただきたいです……!」

長く続けたいですね。
それで、子どもたちの成長を見たいです。
直接のお客さんじゃなくても、この道を通る地元の子どもたちを見て『あー、あの子大きくなったなー』とか思いたい!

「それ、すごく素敵ですね」

『目黒』というのは偶然だったけど、ここで長く続けてこの街の一部になって、この街に暮らしている人たちと一緒に成長していきたいです」

「一緒に成長……なんて素敵な言葉なのでしょうか。
目黒は、どういうお客さんが多いですか?」

『面白いもの』を求めている方が多いように思います。
それも、突飛な感じではなく、『上品で面白い』ものを」

「ファッショニスタが多いですね。おしゃれな方が多くて、着こなしが上手な方、こだわりのある方が多いですが、皆さん本当にフレンドリーです」

「あと、自分のスタイルを確立している方が多いと感じます」

「主人がコーディネートをお勧めしたら、そのまま言いなりになるんじゃなくて『じゃあ持っているあのスカートと合わせようかしら』みたいなことが多くて、こちらも勉強になります

「まさに、『街と一緒に成長』している感じですね!」

夢は、月に1度の「銀色食堂」


「これからこういうことをしてみたい、ということはありますか?」

「今、定休日やカフェの閉店後に生け花教室やメイクレッスン、パン教室をやってるんです。
はじめは『私が受講したいもの』という感じで、けっこう内輪だけだったんですが、やっているうちに興味を持ってくれる人が増えてきていて」

「メイクも生け花もパンづくりも……、私も興味あります!」

「生け花は毎週水曜と木曜の閉店後、メイクレッスンは月1回くらい『ベースメイク』『眉レッスン』など単発でやっているのですが、『また来たい』と言ってくださる方がほとんどで」

「なんだかわかります。
自分が興味を持っていて『習ってみたいな~』と思っていることがあっても、どこで習うか決められなくてなかなか一歩踏み出せないことがの多いですが、自分が通っているお店、とか『自分が信頼できるところ』でおすすめされたら、ストンと入り込んでくる感じですよね」

カフェのキッチンに立つ実央さん。白衣のようなシャツがトレードマーク

「うれしいですね。
大人のサロンみたいな雰囲気なんです。
お酒を飲みに行くのとは違う、『大人の女子会』みたいな。
それがショップイメージにも貢献しているように思います」

「人が集まる場所、ですね」

「そうなんです。
カフェというか、人が集まる空間を作りたいそのツールとしてのカフェ、という発想だったので。
もちろんコーヒーは好きですし、ネルドリップでコーヒーを淹れるのも楽しいんですが……
こんな風にカフェや洋服だけじゃなくて、『私の教室』っていう、また別の存在になってくれたらうれしいです」

「人が集う場所を提供してくださるということは、地元に人にとってもすごくうれしいことのように思います」

「あと、これはすぐにできることではないのですが、『シルバー食堂』みたいなのをやりたいんです」

「シルバー食堂!?」

「普段一人でごはんを食べている地元のおじいちゃん、おばあちゃんに、おしゃれして出てきてもらって、ワインを飲みながらおいしいものを食べて語らう、みたいな空間ができたら、と」

「素敵です!
このあたりは古くからある大型マンションが多いので、需要はありそうですね!」

「ありますかね。
月に1回くらいの『銀色食堂』
年配の方が元気だとうれしくなりますよね。
おしゃれして出てきてほしいです。
男性も女性も、人に見られる意識って、なくさないほうがいいのかな、と思うので……」

EASEさんの路地裏diningも、きっとそんなコンセプトですよね。
路地裏diningは若めですが、こちらは静かな感じで」

「とてもすばらしいです。
ぜひ実現してほしい……!
目黒駅前新聞としても全力で協力させていただきます!」

「ありがとうございます」

「敦史さんはいかがでしょう? アパレル部門のほうは……」

「実は今すごく満足しちゃってて(笑)」

「とりあえず現状維持でしょうか(笑)」

「1年目は思いのほかうまくいって、新しいお客さんもたくさん来てくださいました。
お客さんの満足感を常に満たしていかないといけない、と思っています」

「現状維持に見えるけど、常に進んでいかないといけないんですね」

「目黒の方は、『心が躍るようなものを期待してくれている』方が多いような気がします。
それを提案していけるようにしないと、お客さんの満足度を維持できない
『あのお店に行ったら面白いものがある』と思われる店でないといけなくて、それは努力が必要なんです」

「目白では、素材感がいいものであればシンプルでもよかったんですが、こっちの方は面白さを求めている方が多いですね。
パンチの効いたもの、エッジの効いたものを求めている。
こちらが提唱したい女性のスタイルもあるので、常にブランドを探して変化させていかないと、といつも話しています」

アパレル部門の店内で敦史さん。洋服に囲まれて幸せそうな笑顔が印象的

「あとは、せっかく同じ通りに服飾の学校があるので、いいつながりになったら、と思っています」

「いいですね!
杉野服飾大学さん、ドレスメーカー学院さんですね」

『学生さんによりコーディネート週間』みたいに、うちのアイテムを使って学生さんたちにディスプレイのコーディネートをしてもらったり、商品陳列をしてもらったり……
そういうコラボレーションができたらいいな、と思っています」

「こちらもぜひ実現できるよう、目黒駅前新聞として全面協力させていただきます!」

* * * * *

LITTLE HAPPINESSさんが目黒のドレメ通りに誕生して、1年。
カフェは連日デザートが完売するほど人気が集まり、アパレルも熱心なファンが多数ついている、という印象です。

通り側は大きなガラス張りになっていて、お店からは通りの様子が、通りからはお店の様子が見えます。
歩いていて敦史さんや実央さんと目が合ったり……

まさに「顔の見えるお店」。
目黒は、
こういう「顔の見えるお店」が受け入られる街なんだ、
と、なんだかうれしい気持ちになります。

実央さんが言った
「街に暮らす人と一緒に成長していきたい」
という言葉がとても印象的でした。

街の風景の一部となった小さなお店が、

いつまでもこの街にあり続けられるように、

変わりゆく目黒が、

いつまでも

「顔の見えるお店」を愛せる街でありますように。

<了>

<shop情報>

LITTLE HAPPINESS
住所:東京都品川区上大崎4-4-9 グリーンパーム目黒 1F
アクセス:目黒駅西口より徒歩4分
営業時間:11:00~20:00(ラストオーダー19:30)火曜日定休
≫≫Web siteはこちら(外部リンク)

 

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この記事を書いた人

目黒駅前新聞の生みの親。